それは果たして親切か?それともお節介なのか?
井手口です。大阪にて。
杖をつきながら、足を庇い、ほとんど前に進めないでいるおばあちゃまを見かけて、声をかけずにいられなかった。
カラダのサイズからは、明らかに大きすぎるスニーカーに、ユルく結んだ靴ひも。解けないように堅結び。
道行く知らない他人から、いきなり声をかけられたら、誰だってビックリするだろうし、どうしよう。なんて声かけたらいいだろう?
咄嗟に出たのは
「あの、私に、靴ひも結ばせていただけませんか?そうすると、今すぐ、足運びが楽になるから。」
おばあちゃまは
「ありがとう、でも、ごめんなさいね。先を急いでるのよ」
「そうですか、こちらこそ、失礼しました。」
と立ち去ろうとしたら、
「靴ひも?」
っていう言葉が私の背中から聞こえた。
囁きほどの声だったけど、聞き逃さなかった。
踵を返して、戻る。
「そう。靴ひもです。ねぇ、お母さん、1分私にくださいますか?」
おばあちゃまが頷いてくださったので、急いで紐を結ぶと
「え?こんなにキュッてするんや?」
驚き顔。
「うん。そうですよ。ズボンだって、ベルトを締めないと脱げちゃうでしょう?。おんなじです。靴の中で足が前に滑るから、歩きづらいの。」
片方の足が、靴にピッタリくっついた。
おばあちゃま、その足を持ち上げて
「ほんまや!」
「足の指が使えるな!」
「じゃあ、こっちもやりますねー。」
「あんた、スゴいなぁ。こんなん誰が教えてくれたん?」
「私も自分の膝が痛いこともあったし、歩けないことも長かったから、自分で考えたのよ。これから学校作りますからね。」
「へぇー!行ってる先の治療の先生がな、爪先で歩くんやでって言うねん。かかとから歩くよな?」
「かかとから、爪先まで、ぜんぶ、使ったら良いですよ。そうした方が安心して歩けるから。」
「なぁ。そうよなぁ。」
もう片方の靴紐も結び終わって、顔をあげたら、おばあちゃんが笑った。
ニッコニコの笑顔だった。
「あんた、スゴいな!!な!有名になってな!」
「うん。お母さん。私、有名になる。これから東京に戻るから。また大阪にくるからね。」
「うんうん。ほんなにな。また来てな!ありがとうな。助かったわぁ!おおきに!」
私の背中から聞こえてきたのは、さっきまで足を引き摺っていた背中の丸まったヨボヨボのおばあちゃんじゃなくて、大阪のオバチャンの元気な明るい笑い声だった。
(歩けて良かった。)
そう。
いつだって救われるのは、私の方です。
おばあちゃん。こちらこそ、ありがとう。
私が私を活かすのだ。
親切なんかじゃない。究極のお節介を、やりたい。
他人様の為じゃない。
私がやりたいから、やる。
それだけだ。