リニューアル中のトラッドシューズについての進捗報告

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足と歩行の未来開発ラボ:アシタスタイル、代表の井手口です。

本日のブログはリニューアル中のトラッドシューズについての進捗報告です。

従来の木型を用いて、新しいデザインでの型紙を作成し、パターンを引いて、革を裁断、縫ってもらい(製甲)、木型に沿って吊り込んで頂き、ラフサンプル(片足のみ)が出来上がってきました。

が…
どうも、イマイチ…。

足入れしてみて、

(ん? 羽根、こんなに開く??)

あれ?

(足の収まりが以前と違う??)

予想していなかった「???」がたくさん起こり始めました。

このまま進めると、ダサい靴にしかならないぞ…! 納得いかないまま進めたくない!

で、
思い切って仕切り直すことにしました。

木 型 か ら 作 り 直 し ま す!!(><)

 
楽しみにしてくださっている方、お待たせしてごめんなさい!なのですが、やっぱり妥協したくないです。

「前に、生産販売していたのだし、同じように作れば良くない?直ぐに作れるはずじゃ?」
そんな風に思う方も多いかもしれません。
ですから、ここで、なぜこんなことになっているのか?状況の説明をしていきます。

そもそも、この度のリニューアルには、大きな目的が3つありました。

1,メーカーさん変更に伴う生産工程の見直し。
2,原料、素材の見直し。
3,デザインの見直し。

実は、シューズメーカーさんにも、製作するお品物の、「得意」「不得意」があるんです。(レストランなら洋食、和食、中華みたいな)

以前のメーカーさんは、婦人靴(パンプス)が得意、現メーカーさんは紳士靴づくりが得意です。

様々な工法がある靴づくりですが、以前のメーカーさんで準備した道具と工法を現メーカーさんにへあてがえ、現メーカーさんの工法に沿って進めようとすると、手順が変わって、手数が増え、非効率が生じてしまっていました。

それで、現メーカーさんの慣れたやり方に準じた工程を整えるため、初めから型紙を起こし、パターンから組み直して手順を整えよう!ということになり臨んだ今回のリニューアル。

現トラッドシューズの木型を流用、ようやくあがってきたサンプル、なのに!私の足に合わない!!!

以前作ったのは、未来理想の足を模した木型ですから、ピッタリ合うはずの靴なのに!
 


ここで、合わなくなった理由について。

この数年間、自己整体シューズと名付けたショート&ハイカットスニーカーへ、3Dインソールを装着し、歩き続けた毎日だったから。
薄っぺらく弱体化していた井手口の足裏には、筋肉がつき分厚い足に変わりました。
足づくり当初は、3DインソールのパーツもMAXの高さの支えが必須なくらい弱弱しかったですが、段階を経て、最低高のインソールへ変わりました。

アーチが形成されたことで、足の甲が高くなりました。
まあるい踵が出来上がりました。
立派な土踏まずも完成しました。
つまり、3Dインソールに力を借りて作ってもらっていた土踏まずが、自分で作れる足に変わったんです。

外反母趾を生じさせるほどの私の足、元々のニュートラルアーチは高いはず。
だから、ようやく本来あるべきアーチ高まで辿り着いたということでもある!!!


ところで、アシタスタイルの靴の木型はBワイズ(スレンダー)、Dワイズ(マスキュラー)、2つの木型があります。
ショート&ハイカットスニーカーはBワイズ(スレンダー)木型で製作しています。

現時点で、井手口の足は、このBワイズのスニーカーだと、だんだん窮屈に感じるようになっています。
特に、甲がキツイです。
足のゆびにも筋肉がついてきたしね。

それで、トラッドシューズのリニューアルは、私と同じように今後、皆さんの足も逞しく成長していくことを踏まえ、次世代を考慮してDワイズで進めていました。

現行Dワイズ木型へ「乗せ甲」と呼ばれる細工を施し、木型に肉付けをしてから吊り込んでいくやり方で。
その「乗せ甲」した木型で製作したサンプルなのだけれど、足入れをしたら羽根が大きく開いてしまう現象が。つまりこれ、パターン変更だけでは直せない、木型そのものの修正が必要ってこと。


あーーー! もうっ! ここまで来てやり直しなんてーーー!!!

腹の虫がおさまらない私は、もっと、もっと、欲張ることにしたのよ。

どうせやり直すんだったら、いっそのこと、3Dインソールを装着できるトラッドシューズを作ってやるぜ!
と。


で、初めから、木型からデザインし直すことにした、というわけです。


実際のところ、トラッドシューズをご愛用されたのは男性のお客様も多くてね「これに3Dインソールが入れば最強!」な、ご要望も、多数でした。

また、当初は女性のドレスシューズとして製作を始めたこともあって、革の柔らかさやソールの返りの良さも追求したので、男性にしてみれば「馴染みやすく履きやすい」と同時に「柔らかすぎる消耗が早い靴」になってしまいました。

◎硬い革靴は、痛い。馴染むまでに時間がかかる。
◎柔らかい革靴は早く馴染むが、消耗も早い。

これ、革靴に付いて回るジレンマなんです。


コロナ禍で通勤する場面が激減し、テレワーク化が進み、温暖化の影響でビジネスカジュアルが進み、ビジネスシーンでも、カジュアルなスニーカータイプの靴でもOKに変わりました。

とはいえ、やっぱり、トラッドシューズは必要だし、やっぱり、トラッドシューズはマニッシュでなきゃ!ね。


だから、カッチリと硬い革で仕上げたいの。

アシタスタイルには、すでに、皆様のご支援のおかげで世に出せたスニーカータイプの靴が、あります。

筋肉が少ない足では、
アーチが脆弱な足では、
甲が低い足では、
絶壁のような平らな踵では、
硬い革靴は履きこなせません。

トラッドシューズを履きたい人は、スニーカーでしっかり歩いて、しっかり足底筋を鍛えて頂き、マニッシュな硬い靴も難なく履きこなせる強い足へ作り直して頂くことにしましょう。

靴を履く人生を選ぶなら、硬いトラッドシューズだって、高いハイヒールパンプスだって、履くご本人様が、スタイリッシュな靴を履くに相応しい足を携えていることが必要条件だと思いますのでね。

そうじゃなきゃ一生、靴ずれに悩まされることになりますし、快適な足元には、程遠いですし、頑丈な身体の土台も手に入りません。

足は身体の根っこです。
カッコいい靴を履きたい人は今すぐ足づくりに取り掛かりましょう。

最後までお読みくださりありがとうございました。それでは、また!